たまには真面目にボイドラ編集の話をしてみる ③
こんばんは。
ちょっと暖かくなったと思ったのに、また寒くなってきてますね…。会社とか知り合い伝いで、インフル旋風吹き荒れてるとかノロわれたとかっていう話を頻繁に聞くようになりました。皆さんも気をつけてくださいね…!
さて。
数ヶ月前にもそもそと書いていた、ボイドラ編集の色々を気ままに書いてみるシリーズ。久しぶりに更新です。
今回は、ボイドラ編集者さんの中でも「好き!編集の醍醐味!!」「手間がかかるから嫌い!誰かやって!!」の2極に分かれると思われる効果音について。ちなみにかおるは誰かにやってほしいと常々思ってます。笑
毎度のご注意。プロでもなんでもない完全ド素人の音声ドラマ編集者が語っているので本職の方には失礼な話も多々あると思いますが、こんな風にやってんだーとかこんなやつもいるんだ的な参考程度にでも見ていただければ幸いです。
まず効果音の探し方について、けっこうぶっちゃけて書き出してみます。
大体、効果音探しの方法としては自分に限らず、みなさん下記3パターンに分類されるのではないでしょうか。
【買う】
クオリティの高い効果音を手っ取り早く手に入れられます。
といっても、趣味で作る範囲で考えるとかなり懐に痛い出費となりますので、おすすめというわけにはいかないですが…
具体的な名前を挙げていくと、国内の効果音販売で大手といえば、ミクさんをはじめとしたボーカロイドの販売元としてお馴染みクリプトン・フューチャー・メディア様。
世界中の効果音販売メーカーの商品を取り扱っているのでここで探して見つからない音はないといっても過言じゃないですが、なにぶん殆どが業務用なので初めて見る人はびっくりするくらい高価なものが多いです。
が、時々古いライブラリはセール販売をやったりして、普通の音楽アルバムと変わらない価格で販売されていたりすることもあるので、かおるはそういうタイミングでたまにライブラリを購入したりしてます。sonicwireなら単品で買えたりもするので、ここぞ!という手を抜けない効果音で良いのがあれば単品で買ったり。
そのほかにも国内で効果音CDを出されているメーカーさんはたくさんあって、どうしても音が見つからない時はメーカーさんのブックマークの中を彷徨ったりしています。
ちなみにかおるが使用率の高い効果音ライブラリですが、ダントツで使用率が高いのはイメージナビ様の音辞典シリーズ。割と低価格なのに実用性の高い音が多くて、ボイドラ編集を始めたころに揃えたライブラリを今も使い続けています。製品に同梱されていた収録サウンドリストがもう手垢で変色してボロボロ。ちなみに今はどうなのかわかりませんが、当時新宿の某ヨ⚪︎バシカメラのソフトウェアコーナーで、この音辞典シリーズをPCで全て試聴できるコーナーがあって、そこで聴いてから買うことができたという事情もあったりします。当時まだネット上であまり効果音配布サイトや情報なんかが無いうえに、学生でお金もなかったので試聴して買うことができるのはほんと在り難かったです…もしかしたら今も大型家電店やサンプリングCDの品揃えが豊富な楽器店などはそういう試聴サービスをやっているかもしれないので、チェックしてみるのもいいかもしれません。ほんとに稀ですが、効果音CDはあまり売れないのかワゴンセールで半額になってるのを見つけたりすることもあって、そういうタイミングに出くわすと歓喜して買い込んでます。
あと、サンプリングCDで有名なカエルカフェ様のライブラリも重宝しています。いろんな意味ですごく個性的というかアクが強い音が多いのですが、ほかにはない生々しさや空気感のある音があってよく使っています。特に環境音系のライブラリが好き。
他にも個人的なおすすめとして、こだまプロダクション様が運営されている効果音源シリーズがすごい。実用性の高い膨大なライブラリを信じられないくらいの良心的なコストで配布されています。運営者様が同人音楽やボイスドラマにも非常に造詣が深い方で時々イベントにも顔を出されていたり、ツイッターでとても参考になる情報を発信されていたりするので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
あと、最近のトレンド?で効果音生成アプリがちょこちょこ出ていますね。有名どころでは、ゲーム効果音などに合いそうな効果音をパラメータ調整で生成できるDSP animeが普通に遊んでいるだけで面白いです。笑 あまり自分の作風で使う機会がないのでまだ実際音を入れたことはないのですが、コメディ効果音などには重宝しそうですね。
iOSアプリでは、ボイドラ編集で誰しも苦労していると思われる足音を生成するアプリなども出てきています。靴の種類と地面の種類、踏み込みの強さを調整して画面タップで足音を演奏?できるという恐ろしいアプリです。無料版もあるので、iOSデバイス持っている人はぜひ試してみてください。ほかにも雨音とか風の音とか森の音とか…スマホアプリ界隈、効果音ソフトは意外と多いです。(著作権的に使っていいのかどうなのかはソフトによりけりなので実用性は未知数)
【ネットで探す】
おそらく殆どの編集者さんは、フリー素材の効果音配布サイト様を巡回して音を探されているのではないでしょうか。
かおるもお世話になってます。この場をお借りして、素材配布サイトを運営されている皆様、本当にありがとうございます!
おそらくフリー素材の配布サイト様については自分よりも詳しい方がたくさんいらっしゃると思いますので割愛させていただきます><
ちょっと変り種の探し方をご紹介すると、フリーダウンロードできる海外の効果音データベースがいくつかあって、製作を行っていない時期はそういうところをまわって今後使えそうな効果音をストックしたりすることがあります。FindSoundsとかがわりと有名でしょうか。クオリティがピンキリなのでちょっと使い勝手は悪いけど、すごく珍しい効果音が手に入ったりすることも。あと検索も当然英語なので単語力が鍛えられます。笑 最近はクリエイティブコモンズライセンスで音素材を公開している海外クリエイターさんたちもたくさんいらっしゃって、聴いてるだけでも楽しいですね。
【自分で録る】
DIY!DIY!! 無い音は自分で録る!!
ちょっとした室内の動作音とか細かいニュアンスを出したい音は、延々ネット上で探したり編集加工でなんとかしようとするより自分で録ったほうが結局圧倒的に早いことが多い気がします。笑 衣摺れや物音、水回りの音とかは意外と狙ったニュアンスのライブラリというのがないので、自分で録ってしまいます。
かおるは自分で録音する場合、ド定番のR-09HRを使って録音することが多いですが、環境音なんかは都内の某ハー◯オフで格安で購入したSONYのECM-23F(もうビンテージレベルですがその筋では有名なマイク。でも比較的安く手に入る)とかで録りに行ったりすることも。ハンディレコーダーは必要以上に空気感を拾ってしまうので、単品のマイクで録ったほうが実際ドラマに合わせたときにしっくりくることが多いように思います。。。
効果音に使うマイクって一般的に言う録音用マイクの良し悪しと全然違うので、使い捨て覚悟でヤフオクで投げ売りになってたり中古機材で格安で出てるコンデンサーマイクを狙って買ってみると意外に有効活用できるかも。
そんなこんなで、毎回効果音集めで毎回ヘロヘロになります。効果音付けを乗り越えると一気に楽しくなってくるんですけどね…笑
で。
具体的な効果音の加工法や技法について。
このあたりは自分が語れるレベルじゃない偉大な諸先輩方がたくさんいらっしゃって恐れ多いので割愛します!!
またの機会にします!!
一応、普段自分が気を遣っていることだけ、強いてつらつらっと書き出させていただくと。
音の発生源とか、どういうメカニズムで自分の耳に届いているのかとか、現実音と耳に届く音のギャップとかはなるべく意識するようにしてます。
例えば部屋の壁掛け時計なら、カチカチという秒針の音だけじゃなく、よーく聞くと時計が密着した壁もびみょーーーに反響なのか振動なのかわからないですが鳴ってたりします。なので秒針の音に加えて、秒針の音に深めのリバーブをかけて低音だけを無理やり抽出して、それを元音に重ねると空気感が増したりするので、一人きりの部屋の静かな雰囲気を出しやすかったり。シーンの冒頭だけその状態で鳴らしておいて、セリフが始まったら反響音を抜くと自然な感じで時計の存在感が遠ざかるので、そういう空間の音の存在感調整に使ったり。冬だったら秒針の音自体は変えなくても、反響音の高域を強めに足すことでちょっと空気の冷たさを出せないか試してみたり。
あくまで一例ですが、元音+そういう質感付けの要素を見つけるとかなり音作り幅が広がるので、シーンのキーになる音は特に、そういう拡張性がないかというのはなるべく意識するようにしてます。
屋外の環境音なら、朝は空気冷えてるから高い音が飛びやすいだろうしちょっと高域を強めてみようとか、夏の昼間は低音ブーストして密度高い感じにした方が暑苦しさが出るかなとか。冬のシーンならまわりに雪積もってるし音吸われるだろうからちょっとタイトな音にしてみようかなとか。
音響工学なんて全く勉強したことないですが、理科の授業で聞いた記憶をうっすら掘り出して参考にしながら加工を加えてみると、イメージしてる音にたどり着く近道になることもありますね。
電車の中の音とかなら、電車内の音をハンディレコーダーで録音してみると普段自分が聴いてる音以上にすごいたくさんの音が入り乱れててうるさいんですよね。人間の耳のフィルターってすごい。。。
その中で、自分がイメージしている電車内の音は、一体何の音で出来ているのか。ガタンゴトン、車輪がレールを滑る音、インバータの音、モーターの音、エアコンの音、アナウンス、人の呼吸や会話etc.
悩んだ時は、実際録音した音と自分がイメージした音を交互に比べて一つひとつ拾い上げていくと、自分がイメージしてる音の一番強い要素が見つけられるので、その音がしている音域をEQでちょっとブーストして、ほかの帯域を下げてみると馴染みがよくなったりとか。
正直自分が普段編集している音響効果がリスナーさんにはどんな風に聞こえてるのか不安ばかりで技術的にも全く自信はないですが、
できるかぎり音をよく聞いて、本当に鳴っている「生音」をもとに、耳や意識のフィルターを通った「最後に聞こえる音」に近付けるように。
そういう意識をなるべく持つだけでも、登場人物が佇んでいる空間がより身近に感じられるようになる。
そう信じて、波形を弄ってます。
長々となりましたが、今回はここまで。読んでくださってありがとうございました。
何かお役に立てたら何よりです。
また次回!