オリジナル音声ドラマ制作サークル「エコーテイル」のブログです。 http://echo-tail.net/

かおる的・2019年に買ったり導入してよかったと思ったもの。

今年も片手で数えられるほどの日数を残すのみとなりました。
皆様、今年はどんな年でしたか?

さて、去年は滑り込みで更新しようと思ってたら年を越してしまった毎年恒例の「かおる的・今年買ってよかったもの」。2019年バージョンをざざっと書き殴りました。
相変わらずあまり参考にはならない感じだと思いますが、もしも何かのお役に立てば幸いです。

FOCAL Shape40

同人活動開始とともに買って10ウン年使っていたNF01Aを手放し、年始早々に導入したモニター。後述のインシュレーターとの相性やらステップアップトランス導入やらもあって最初の調整に少し時間はかかりましたが、勝手が分かってからはもうこれじゃないとヤだっていうくらいお気に入りのモニターになっています。

以前のスピーカーに比べると、ものすごい低音クッキリ。といっても過剰なわけではなく、フラット傾向のままロー側のレンジが広くなって重心がぐぐっと下がったという感じ。大きな違和感もなく移行できました。
しっかり調整したあとに生音のドラムサンプルとか聴くとびっくりします。「打面がスティックに叩かれて、革が震えて鳴ってる」のがちゃんとわかります。これは人生初の経験で思わず変な声が出ました。

デジタル系のトラックも上から下までガッツリ鳴ってくれますが、繊細な生音の方がより得意な印象。ボーカル・セリフ処理やアコースティック系音源を弄ることが多い自分にはうってつけです。

壁との近接状態でも以前のスピーカーほど大きな影響がなく、音量の大小でも全体バランスの印象があまり変わらないっていうのもすごい。足の高さ調整もネジタイプで非常にやりやすい。スリープ機能(しばらく音を出さないと自動的にミュートになって省電力モードに移行、音を出し始めると5秒ほどで自動復帰)が余計だというレビューも見たけど、自分はヘッドホンと行き来するタイプなのでこの機能はむしろ非常に好都合でした。

とにかく至れり尽くせり、今年ダントツで導入してよかったと思えた機材です。

今年の宅録界隈のモニターはIKのiLoud Micro Monitorが席巻していた印象でしたが、このShapeシリーズもかなりの勢いがあったように思います。音・デザインともに非常に洗練されていて、価格帯も比較的手が出しやすいミドルレンジなので今後定番の宅録モニターの1つになるかもしれませんね。
好みはあれど、秀逸なモニターであることは間違いないので楽器店等で試聴の機会があればぜひ試してみてください。

IsoAcoustics ISO-PUCK

独特なデザインの卓上スピーカースタンドで有名な IsoAcoustics のスピーカーインシュレーター。某デ○マートのアウトレットセールでなぜか「これ値段表示間違ってない??」っていうレベルの投げ売りになっていたところをポチり。

今Focalの足元に使っていて、使用感としては「ものっそいローが出るようになった。というかFOCALの傾向と相まってロー出過ぎw」。
正確には低音が締まったことで以前よりしっかり見えるようになった=ローがデカくなったと感じたんだと思います。
数は少ないながら幾つかネットにあるレビューをみても、 ISO-PUCK だけだと締まりすぎるので別の何かをかましたり置き方を買えて調整している場合が多いみたい。でもそれはしっかり効果がある証拠とも言えますね。
自分はモニター側のローカットフィルターを入れて、インシュレータの前側を ISO-PUCK のみ、後ろ側は ISO-PUCK との間に薄いウッドタイプのボードをかましたら丁度いい具合になりました。以前よりも明らかに解像度が増してます。

このインシュレーター実験が非常に面白くて、実用性だけでなくそういうキッカケを与えてくれた意味でも買ってよかったと思いました。
にしてもほんと、モニター調整の中でもケーブルやら電源変えるよりインシュレータを変えるのが一番音が変わりますね…。こだわりだすと沼なやつ。

STEDMAN PROSCREEN101

金属ポップガードの大定番。K&Mのポップガードから乗り換えました。

布地タイプのように息を防ぐというよりは息を”逃がす”構造のようで、ポップガードの向こうに手のひらをかざして息を吹きかけるとポップガードの外側に向けて空気が屈折して流れていくのが分かります。
ブラインドテストで違いが明確に分かるほど音質が変わるかと言われれば微妙なところですが、「あれ、今吹かれた?」ということが以前より少なくなりました。ミックスでもがっつりコンプをかけて音圧高めの状態で追い込む段階で、以前よりハイエンドがしっかり残っているような気がします。高域をEQで弄ったときになんかレスポンスが良くてキレッキレに感じるような。
ウィスパー系やセリフなんかの繊細なオンマイク表現だと、より効果が出るのかもしれません。

金属メッシュ部が意外と柔らかくて曲げちゃいそうで恐かったり、ネックの形状保持力がちょっとイマイチ?等のウィークポイントはありますが、しっかりとした設計思想と効果がみえる安心感、使用後に容赦なく水洗いできるという衛生的な面を考えると買ってよかったなと思いました。

ENHANCED audio M-600

宅録ではあまり馴染みがないと思われるメーカーですが、マイクホルダーやスピーカースタンドなどスタジオアクセサリーで評価が高いENHANCED audioの看板機材です。
通常、コンデンサマイク用のホルダーはゴムなどで振動を抑制する構造が主流。でもこいつは6点固定のネジで全力がっちりホールドしてそもそも振動させない、という珍しいタイプです。

実際に録ってみると、なんとも表現しづらいのですが…以前より録り音の腰が座って輪郭がはっきりする感じ。カメラでいうとフォーカスが被写体相手にビシッと合って、絵全体が締まるイメージでしょうか。安いデジカメで撮った写真がiPhoneProのタピ○カカメラで撮った画質になる…とまでいうとちょっと言い過ぎか。でもマイクごとの個性がよりハッキリと分かりやすくなって、導入して日が浅いのに即効性の高さを感じています。特にデッドな環境での録音は効果が更に大きい印象でした。
自分は運良く程度のよい中古を買えたのですが、そこそこの録音環境を揃えている方なら定価で買っても十分元を取ったと思える逸品だと思います。

ずっと使っていたRycoteのinvision USMも含め、こういう多軸で締め付けるタイプは1個あれば大体どのマイクで使えるので、スタ録で複数マイクを持っていくときも各マイクの付属マウントを持っていかなくてよいのが何より楽です。

EVENTIDE TVerb

数年前から欲しい欲しいと呟きつつ、買ってなかったプラグインリバーブ。セールでポチりました。

デヴィッド・ボウイのエンジニアが行ったレコーディング手法をプラグイン化したという少し異色のリバーブ。あくまで1つの空間をシミュレートしたもので、他のIRリバーブ等に比べると音色の幅はかなり限定されます。
でもリバーブとしてとても使いやすい音色で、グラフィック内でマイクを立てる位置&指向性選択とボリュームフェーダーで空間の広さやかかり具合を設定する直感的操作が非常に分かりやすい。アコースティック編成のミックスでこれを挿すと、それだけで絶妙な一体感が出ます。「がっつりリバーブじゃなくて、音源からちょい離れた所にマイクをポンと立てて部屋鳴りを録った」みたいな生っぽい質感って普通のリバーブで作ろうとすると意外に手間がかかったりうまく馴染まなかったりするんですよね…。そういう自然な感じの馴染みを出すリバーブが得意なプラグインです。
ドラマの編集でも倉庫内や洞窟内といった常時リバーブが必要なシチュエーションはもちろん、少し離れたところから呼びかけるセリフに挿してマイクの位置を調整していくと、それだけでいい感じに滲んだ距離感が出るのでお手軽で便利。慣れは必要ですが、EQと組み合わせれば空間の質感も十分な調整幅があるので思っていた以上にボイドラ向きかもしれません。
ゲートが標準で組み込まれているのもかなり便利。ゲートリバーブ設定が手軽にできます。使い込みはまだまだこれからという感じですが、かなり使用率が高くなりそうな予感がしています。

普段は比較的お高めの値段だけど、年に1~2回くらいプロモーションで5千円台くらいまでガクッと下がるタイミングがあったり、30日間フリーのフル機能デモ版もあったりするのでご興味のある方はぜひ触ってみてください。


そんな感じの2019年機材事情でした。ほかにもいくつか導入して面白かった物とかあるので、それはまたの機会に。
今年は自分にとって断捨離の年で、大きいものから小さいものまで2ケタ以上のハードウェアを処分しました。そのぶん本当に好きな機材だけ手元に残って、ようやく自分なりのスタイルが定まってきた気がしてます。
諸事情あって春からは活動をかなり縮小しますが、また面白いものがあればレビューなり紹介していきます。

皆様、新しい年も良い宅録ライフを!

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